お慕い申し上げておりました

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「どこから。」 「………」 どこからか。未来から。 そんな事、口が裂けても言えるわけがない。 きっと誰も信じない。 「どこからだ。」 男の人の声が低くなった。 黙っていれば、疑いは深くなってしまう気がする。 「わ、分かりません。」 「分からない?」 「はい。 寝ていて、起きたらここに。」 男の人の目が疑いの色を濃くした。 が、強ち嘘は言っていない。 意識がなくなって、目が覚めたらここだったのだ。 「じゃあ、お前、剣の腕に自信はあるか?」 「はい?」 流石に突拍子のない問いに爽和は驚きを隠せなかった。 「土方さん! まさか、この人を?」 声を上げたのは端に座っていた藤堂だ。 その横に座っていた永倉と原田も同じような顔をしている。 「ああ。そのまさかだ。」 「でも、なんで」 なおも言い募ろうとする藤堂の言葉を遮る別の声。 「平助。話が進まない。」 注意されて藤堂は黙った。
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