お慕い申し上げておりました

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「ありがとうございます。 でも大丈夫です。」 「わか…った…」 渋々、といった様子だが平助は引き下がる。 「本当にいいんだな?」 目の前の男は確認をとる。 自分が言ったんだろう、と思いつつも苦笑して答えた。 「はい。 至らないこともあるかもしれません。でも頑張ります。 最後まで、私の力、捧げます。 よろしくお願いします。」 生半可な覚悟では、これから先、ここで過ごしていくことは出来ない。 私がこの世界から消える、その時まで。 全ての力を、捧げたい。 覚悟の思いを言葉と一緒に、胸に刻みつける。 あたりが、しんとなった。 「えっと、私なにか変なこと言いましたか?」 爽和が困惑して見回すと、問い詰めてきた人、土方の隣の人と目があった。 「良い方を拾われたようですね。平助、斎藤くん。」 爽和の肩がぴくりと跳ねた。 「さいとう……」 その呟きはあまりにも小さすぎて、誰の耳にも届かなかった。
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