こえ

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「気をつけていってらしゃい」 優しく微笑んでいる人に笑みを返す。 「はい。おばさん。 いってきます。」 何時ものように返事をし、後ろ手に玄関のドアを閉める。 「いってきます。 ―――――お母さん、お父さん」 早朝も早朝。 まだ外は静けさに包まれている そんな誰もいない、暁の空にそっと呼びかけるのは日課。 ************* シュン シュン 空を鋭く切る音は心地良く耳に響き、心を落ち着かせてくれる 「おうおう、朝から精が出るな 流石日本一の女剣士、爽和。」 こんな朝早くに、この場所にくる人は私は一人しか知らない。 「おはようございます、姫。」 「ばっ、姫って呼ぶなって! み・な・が・わって呼べよ。 いつも言ってるじゃんか…」 「ふふっ、そうでしたね。 み・な・が・わ・も早いですね。」 この子は、皆川 姫。 彼女は日本で二番手の女剣士。 一応、一番は自分。 髪はベリーショート。 口調は男っぽく、性格もまた、男勝り。 それなのに、"姫"という何とも可愛らしい名前という事がコンプレックス。
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