お慕い申し上げておりました

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この人が、この人が。 爽和はじっと、沖田の時よりも見つめる。 すっとした涼しげな瞳。 通った鼻筋。 形のいい唇。 すらりとしている指。 ぴんとのびている背筋。 全てを目に焼き付ける。 夢みたい。 貴方にあえるだなんて。 「さいとう…さん。」 爽和はふらりと立ち上がり、斎藤の目の前に腰を下ろした。 きちんと正座をし、正面から目を合わせる。 斎藤は不思議そうな顔をしつつも、目は逸らさない。 ちらりと斎藤の右側に置いてある刀に目を向けた。 間違いない。 本当に、夢みたい。 「ずっと… お慕い申し上げておりました。」 爽和は三つ指をつき、綺麗にお辞儀をした。 「は…?」 誰もが爽和の行動と言葉に驚きと動揺をみせた。 斎藤も目を瞠っている。 「おい。お前…っくそ、名は!」 いち早く立ち直ったのは土方だった。
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