お慕い申し上げておりました

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「申し遅れました。 私は、朝日川 爽和、斗です。」 爽和は体は斎藤に向けたまま自己紹介をした。 朝日川 爽和斗(アサヒカワ サワト)。 とっさに出た偽名。 本名の朝日川 爽和(アサヒカワ サワ) だと、明らかに女だと分かってしまう。 女ではダメだ。 ここは女人禁制なのだから。 「朝日川。 お前…………男色か?」 もの凄く遠慮がちに聞く土方に爽和は笑いが堪えられなかった。 「男色って…っあはは! っふ、違いますよ。」 そもそも本当は女だから男色は成立しない。 「じゃ、じゃあ今の何だよ!」 こちらもまた、なぜか焦ったような藤堂が大声を上げた。 「そうですね… 試合。してもらったら分かります。」 爽和は妖しく微笑み教える。 「じゃあ、僕と試合しない?」 また違う方で声が上がる。 「沖田さんと?」 沖田が提案を持ちかけてきたのは何となく意外で思わず問い返す。 「そ。ダメかな?」 「や、いいですけど…お手柔らかにお願いします。」 こうして二人の試合は決まった 「総司、道場を使え。 朝日川は、その格好のままでいいのか?」 「あ…よくない。ですが…」
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