導―ｼﾙﾍﾞ―

お慕い申し上げておりました

｢あいつ、ここがどんなとこか知った上でいたいと言った。

普通嫌がるだろ。

そこがきな臭せぇ。｣

土方自身、提案はしてみたものの断られるものだとばかり思っていた。
本当にいれるつもりは更々なかったし、見極めるために言っただけだった。

｢嫌がると分かって言ったなんて、土方さん予想が大外れですねぇ。

局長不在時に勝手に隊士なんか雇って…
責任、全部土方さんがとってくれるんですよね?勿論。｣

｢ぐっ…総司、お前…｣

誰も読めていなかった土方の内心を、悉く綺麗に読み取った沖田を恨めしげに睨む。

｢そんな風に睨まないで下さいよ。まったく…
理不尽極まりないです。｣

口調はあくまでも敬語だが、内容はどこまでも飄々としている。

｢まぁ隊士だと決まった以上きっちり力を見せてもらいます。

相応のこと、していいんですよね?｣

この瞬間、全員が気づいた。

沖田が爽和をよく思っていなかったことに。

隊士となる前までは一応客人的扱いだったが、今は組の一隊士となった。
丁寧に扱う必要はなく、実力を計ると称しぼこぼこにするのも可能だ。