お慕い申し上げておりました

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話を振られた斎藤は気づかなかったようで反応がない。 「一!」 もう一度強く原田が呼びかけると、弾かれたように口を開いた。 「間者でない証になるかどうかは分かりません。 しかし演技などではなく、あれは本当だったのは確かです。」 「ほら。」 同意を求める原田に良い顔をしなかったのは土方だけで… 「彼の言葉から偽りは感じられませんでしたし、原田君の言うことが正しいのでは?」 「『最後まで力捧げます』 だってよ。 見た目は女々しい癖して、なかなか男気あるじゃねぇか。 俺は気に入ったな。」 「俺も。 良くは思っても悪いやつには感じない。 それによ、土方さん。 ここは身分も出身も関係ない、力があれば入れるとこだろ? あいつが敵でないなら、どこの出だっていいんじゃないのか?」 全員から口々に疑いすぎだと言われ、盛大に舌打ちをした。 「その言葉が!胡散臭いんだよ! 自分たちのことではあるが、ここに全ての力を捧げる程の価値があると思うか?客観的に見て。」 その言葉には誰もが押し黙る。
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