お慕い申し上げておりました

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自分たちは夢や志をこの組に見出している。 しかしあいつはどうだろう。 強い志などがある素振りはひとつも見せなかった。 ただ瞳に強い意志が宿っていた それが何に対してなのかはわからない。 「そういうことだ。」 土方は部屋を出て行った。 その後を誰もが浮かない顔で追った。 ************ 「準備、できましたか? 朝日川さん。」 「もちろんです。」 若干、裾や袖が長い胴着をひらひらしながら答えた。 「あんまりなめないで下さいよ」 そんな爽和の態度を見て沖田は冷たく言い放つ。 「なめてないですよ…」 むしろ気張っている。 それは沖田が強いと分かっているから。 頑張って普段を装って緊張を解そうとしているだけ。 「お前ら、そろそろ始めたらどうだ?」 何だかギスギスしている空気を察してか原田が進言する。 「そうですね。平助。 審判、お願い…します。」 「あ、うん。 じゃ、構えて。」 藤堂が二人の間に立ち、構えるよう促した。 それに合わせて、沖田も爽和もそれぞれに構える。
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