お慕い申し上げておりました

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隙がない。 だけど構えはどこか不完全なように見える。 その違和感が苛々を煽る。 「…気持ち悪い、ですねっ!」 違和感を探るには、先ずは打ち込むしかない。 やっと動きを見せた沖田に爽和は、その一太刀をしっかりと受け止める。 「っく…」 思っていた以上に力が強かった つくづく、どこからそんな力が出るのか不思議な程に。 長期に持ち込むことは、絶対に不利になる。 分かっている。 しかし、ある程度打ち合わないと爽和は本領を発揮できない。 ここは煽るしかない。 そうして何度も打ち込ませる。 そう決めて、努めて余裕の笑みを浮かべた。 「もっと来ないんですか?」 すぐ近くにある綺麗な沖田の顔が歪んだ。 それが見えたのも束の間。 顔が歪んだのが見えたかと思った瞬間、既にそこにはいない。 かと思えば、すぐに第二撃がやってきた。 「っ、あなたこそっ、防戦一方っ、ですよっ!」 何回も何回も打ち込まれるが、防ぐだけの爽和に打ち込みながらも言う沖田に、そろそろだと思った。
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