こえ

4/14
前へ
/239ページ
次へ
. . . わりと仲がいい子。 「こんなストイックな子にゃー、流石に負けるわ。」 笑いながらそう言う姫。 きっと悔しかった筈なのに、そう言える姫は凄いと思う。 言葉に偽りがないから。 「そんなことないです。 ストイックさなら、皆川と大して差なんかありません。 何か差があるとするなら、運ぐらいです。」 「またぁー。 運だけで勝てるような甘い世界じゃないでしょ。」 私の肩を叩きながら言われた言葉は諭されたのだと分かった。 一生懸命にやったのに運がなかった、の一言で片付けるのは、彼女に対する侮辱かもしれない。 「…そうですね。 後は、愛、じゃないですか?」 「愛ぃー?」 「剣道にかける、愛です。」 これだけは、剣道にかける愛だけは、自分が一番だと言える。 誰にも譲れない、私の矜持。 「んー、そうかも。 端から見てても爽和の剣道愛は、よーく伝わってくるもんね~ もう剣道一筋!みたいに。」 「…うん…」 一筋なんて言葉じゃ、収まりきらない。 剣道は私の、唯一、だ。
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!

151人が本棚に入れています
本棚に追加