お慕い申し上げておりました

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ああ、この人は分かったんだ。 私の努力と、弱さで出来た私の最大の武器を。 そう思った。 でも、認めてもらえることは何であれ嬉しかった。 僅かに瞼を震わせる。 「ありがとうございます。」 山南を皮切りに藤堂も永倉も原田も口々に感想を述べていく。 その間も始終沖田はこちらに睨みを飛ばしていた。 「なぁー、土方さん。 もう夕方なんだけど、朝日川どうすんの?」 何を思ってかずっと黙っていた土方は、藤堂に話しかけられ漸く口を開いた。 「部屋でも案内しとけ。」 すると藤堂は何故か嬉しそうな顔で返事をした。 「はーい。 朝日川、部屋案内してあげるから行くよー」 「あ、はい。お願いします。」 二人が道場を出て行くと、残っていた人達も一人また一人と出て行った。 ただ土方だけは難しい顔でずっとそこにいた。
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