お慕い申し上げておりました

38/39
151人が本棚に入れています
本棚に追加
/239ページ
そう言って今はない胸を張る。 「はぁ…もういい。 それよりも一様はやめろ。 お前に一と言われるとむず痒い感じがする。」 「いーえ。一様で十分です。 私の事も呼び捨てでも良いですよ?」 嫌そうな顔をする斎藤に冗談半分で提案する。 「爽和。」 「へ?」 まさかの本名で呼ばれて驚く。 「お前の名前、爽和斗ではなくて本当は爽和だろう?」 「何で分かったんですか?」 「爽和と斗の間が不自然にあいたから。」 「そうです。本当は爽和です。 爽和だったら何か女だって分かってしまうと思って。」 だって女人禁制でしょ?と付け足すと斎藤は頷く。 「さらしをしていたこと、名前を変えたことは良い判断だ。 もしどちらも無ければきっと女だとばれた。」 「ですね!」 どういう形であれ、敬愛する人に認められるというのは嬉しかった。 「爽和。」 「はい、なんでしょう?」 「頑張れ。 出来る限り助けてやる。」
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!