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ではなくて…
「もう起きろ。
爽和、朝日川爽和。」
近づき顔を覗き込むようにして肩を揺さぶると、漸く唸りながらも目を開けた。
「…どちらさまで?」
が、目はとろんとしていて完全に寝ぼけている様子。
「俺だ。斎藤一だ。」
「さいとー…はじめ…」
俺の名を繰り返し、ふわりと笑い、とんでもない行動に出た。
「っ…!」
「私、大好きなんです…
会えたなら、私死ねます…」
首に細く色白な腕を絡め引き寄せる。
あまりに唐突な行動に、寝ぼけてやっていることと分かっていても、動揺で体も頭も動かない。
その時、たんと床を踏む音が部屋の前で止まった。
顔をそちらへ向けると、平助がいた。障子を開けていたため、部屋の中は丸見えだ。
絶対に誤解している。
弁解しようと口を開こうとすると
「そぉーじぃぃ!はじめがぁー!」
あろう事か叫び声を上げて走り出した。
よりによって総司に言おうとするなど…断固阻止しなければ。
爽和の腕を引き剥がし、平助を追いかける。
「待て、平助!」
今度はきちんと障子を閉めて。
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