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「うん。
でも俺、あの光景見た時、ほんと焦ったんだ。」
「男色だと?」
藤堂は首を振る。
「それも思った。
でも、最初に思ったのは違う。」
「では何に焦った?」
「いやー…
俺は最初、一が女と色事(イロゴト)の最中だと思った。」
「は…!?」
想定もしていなかった事に、それしか出なかった。
女じゃないとか有り得ないとか言うべきことは沢山あるのに、口からその言葉達は出ない。
「あははははっ、寝起きの頭だったからさ。
でもよく考えたら二人とも男だし、それはないって気づいた。
次に思ったのは、一が毒牙にかかった!って。」
「毒牙…」
「だって、あいつは一の事好きなんだろ?」
「爽和の慕っていたというのは、そういう意味ではない。
敬愛、という意味だそうだ。」
敬愛という言葉に首を傾げる藤堂。
「あいつは左利きだ。」
「そうなんだ!…なら、納得。」
左利きを貫くのはすごいことだと藤堂は思っている。
道場ならどこへ行っても先ず右利きにさせられる。
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