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鷲掴みにして藤堂を痛めつけていた沖田は、ふと爽和の方へ目を向けた。
「まだ着替えてなかったの?
朝から、そんな女々しい姿見せないでくれる?」
それだけ刺々しく言って去っていく。
「何なんですか…」
爽和が言うと沖田の背中を見送っていた二人は、はっとして振り向く。
「私、貶されたんですよね?」
そこには表情の読めない爽和。
「や、貶されては…」
「貶されたな。」
「一!」
柔らかーく返そうとした所を率直に言ってしまった斎藤を窘める。
「遠回しに言った所で事実は事実だ。」
「そうだけどさ…」
どう言えばいいのか途方に暮れていた藤堂の耳に怒れる爽和の声が入る。
「私、沖田さんに何かしたんでしょうか?
してませんよね、藤堂さん。」
「えっ俺!?
うん、してないと思うよ。」
「ですよね。」
冷たい目で沖田の去っていった方向を見やる。
「爽和、今のは忘れろ。
そして着物は平助に借りろ。
平助、爽和に着物を貸してやれないか?」
怒れる爽和を落ち着けるためためか斎藤は別の話をふってやった。
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