初対面(ハツタイメン)

10/48
前へ
/239ページ
次へ
「ああ、いいよ。貸す貸す。 今貸すから来て。」 「はい、ありがとうございます 一様、おはようございました。」 斎藤に一礼する。 「ああ、早くいけ。」 そして二人は共に去っていった 「俺もさ、そんな数もってるわけじゃないんだけど…何がいいとかある?」 行李を漁りながら背中を向けて語りかけてくる藤堂に、何だか申し訳ない気持ちになりながらも遠慮がちに答える。 「えっと…何でもいいです。 藤堂さんが一番着なさそうなものとかでいいです。」 「着なそうなやつね… 袴と着流しどっちがいい?」 「袴でお願いします。」 爽和には着流しの着方が分からない。 袴なら胴着と同じだろうという理由で選んだ。 「こんなんでいい?」 藤堂が爽和に見せたのは、紺というよりは藍色に近い着物と鼠色の袴。 落ち着いた色合いで爽和は好きだった。 「はい、大丈夫です。 ありがとうございます。」 爽和はそれを受け取る。
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!

151人が本棚に入れています
本棚に追加