こえ

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「あーもう分かりましたっ 私達しかいないとは言え、こんな公の場でそんな事大声で言わないで下さい。 恥ずかしいです。」 ここは武道場。 案外、声が響くのだ。 「そうだね、ごめんごめん。 それよか…」 皆川の声音が真剣なものへと変わった。 爽和も真剣に耳を傾ける。 「まださぁ…あたしたち高校に出願届だしてないでしょ? でも、爽和はあたしと同じとこいくよね?」 「はい。 どうしたんですか、急に。 私と一緒でないと、寂しいんですか?」 爽私が微笑みながら冗談めかして言うと、皆川は目を見開いて笑った。 「…!うん。 爽和がいなかったら誰も知らない人ばっかりだし、寂しいって思う~!」 そう言いながら、がばりと抱きついてきた。 「…ありがとうございます… 嬉しいです。」 皆川の方が背が少し高いから爽和は顔を埋めている形になる。 だから皆川は気づかなかった。 否、気付けなかっただろう。 爽和の瞳に翳りが落ちたことを
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