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ざあざあが、やんだ。
水たまりがあったし、いつもの町は色をなくしていたし、長ぐつをはいていて歩きづらかったからたぶん、雨が降っていたんだろう。
空が泣いていて、おかあさんも親戚の人も泣いていた。みんな、黒い服を着ていてなんかこわかった。
私も黒い服を着ていた。いつもはきいろとかももいろとかみずいろなのに、黒はいやだと言ったらおかあさんに怒られた。
「いいから着なさい!」だったかな。よくないから着たくなかったのに、とそんなことを思った。
おとうさんだけ白い服でなかまはずれにしたらだめだ、なんてことも言っていた気がする。
そんなわけで私が最後に見た父親は白かった。
葬式が終わって、人びとの目を盗んで家から飛びだした私は、よく遊んでいた公園に行ってブランコに乗ろうとして、ふとそのそばにある水たまりに気づく。
私は、それを覗きこんだ。
記憶は、そこで途切れている。
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