第1章

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個人の人生を左右する性癖は何らかのきっかけで決まると思う 自分自身歪んだ性癖を持ったのはこの出会いが切っ掛けだろう ほらほら徳永の恋人で「恋人よ、遠い昔に帰ってみないか?」ってあるやん? お互い当たり前になりすぎたんちゃう? 出会った時は好きで好きで仕方なかったんでしょ? その時を思い出したら? と半分は自分に言い聞かせた 「ロッド巻いて間抜けな姿で生意気やね?」 と言った 何も答えれなかった 沈黙が断ち切られたのは直ちゃんの 「ω君カラオケ行く?」 て言う台詞だった え? 「徳永英明好きやから聞かせて?」 断る理由も 断る強さも 無かった 僕は流されるまま来週の水曜日に直ちゃんに予約をされた 自室でぼーっとしていた 罪悪感と期待感が入り混じり 何とも言い表せない脱力感があった 彼女からの電話も 疲れてるから.... と一方的に切ってしまった 嘘が見抜かれ水曜日に逢えなくなる可能性が 僕をいっそう冷たい態度にしてしまった 学校でもそうだった だが 水曜が近ずくにつれて怖くなった 自分自身の気持ちが解らなかったからだ 女友達とカラオケ行くのに今まで抵抗は無かった だがあの瞳に覗きこまれた時を思い出すと 胸に杭を打ち込まれる感覚がしたのだ 水曜日待ち合わせ場所は 近所の葬祭場の駐車場だった 学校を抜け出し 1時の待ち合わせに半時間早く行き 駐車場に入った だが 急に怖くなり 帰ろうとした 行ったけどいなかったよ? とすっとぼけるつもりだった 卑怯にも 逃げた 出口に向かう僕を古い軽自動車が前を塞いだ ホンダtoday550cc 手動で窓を開け 「おー?半時間前に来るとはやる気満々やん?関心関心wωクン乗ってw」 と直ちゃんが笑顔で顔を出した お洒落な女の子が乗るには何とも不釣合いで 途轍もない違和感を感じた え?待ってたの? 疑問を投げつけた 「今着いたばかりよ?」 とぬるい缶コーヒーを渡された 本当に他愛も無い話が続いた この車を貰った オムライスが得意料理 今のヘアースタイルが友達にワカメちゃんと呼ばれている事 直ちゃんの意外な一面が見れた気がして 素直にうれしかった ドライブだけで良いんじゃないかなー? と直ちゃんを知れる時間を満喫していた 1時間ほど走った時 風景が変わっていた 海が見えた そしてのれんが掛かった建物に入った
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