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泣きじゃくる君が見える
あぁ羨ましい
私には涙を流す眼がないから
怒鳴るあなたが見える
あぁ妬ましい
怒りたくても声なんか出ないもの
あなたは今生きて
そして時間を刻んでる
時計をただ死んだ眼で見つめてる
ならばそれならば
その眼をください
声をください
私なら
綺麗なモノを見て泣いて
美しい音色を奏でるから
きっときっと
感謝して生きるから
耳をつんざく雑踏
どうして聴こえないの
あなたを心配する人の声が
動かぬ肢体
なぜ踏み出さないの
その気になればどこへでも行けるのに
ならばそれならば
耳をください
脚をください
私なら
些細な音にも耳を傾けて
地の果てまで走るから
きっときっと
世界を見て回るから
才能がないと君は嘆く
私にはわからない
それが一体なんだと言うの
力が欲しいと君は言う
だからそれが何?
願うほどのこと?
ならばそれならば
才能なんていらない
力なんていらない
私なら
血が滲むほど努力して
黙ってのし上がるから
だからお願い
一秒でいいの人生をください
だからそうだから
眼をください
声をください
耳をください
脚をください
才能も力もいりません
どんなに短くても構わない
いのちをください
いのちをください
苦しくても惨めでもいいの
心をください
時間をください
君がいらないと言ったその時間を
代わりに私が生きるから
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