醜いのは嫌いなんだ

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零亜「あの、宗が来るまで俺ら話し合ってもいいですか?」 ユウト「あぁ。構わないぜ?」 え? みんなは部屋を出て行く。 嫌だ…わたしとお父さんだけにしないで。 でも、みんなはわたしに気付かず部屋を去った。 お父さんを見ると目があった。 ユウト「聞こえてたか? あの言葉。」 頷く。 ユウト「へぇ… ダメなんだ俺、友情とか。 彼奴らは…綺麗過ぎる…。 穢れを知らず純粋だ。 吐き気がして ぶち壊したくなる。 彼奴らには、内緒だぜ?」 合わせた目 そらしたくてもそらせなくて わたしは頷くしか出来なかった。 妖艶でら何処か嘲笑って、楽しんでる。 ユウト「…なぁんてなっ。」 ニコッと嘘みたいに笑うお父さん。 笑ったあと 笑顔が薄れ絶望した紅い瞳がわたしを見据える。 ユウト「…俺には、いないんだよ。 俺を、本当の俺を知って大切に思ってくれる奴は。 サクヤも本当の俺を知らない。 俺が人を好きになれば 殺したくなることも 穢れのない奴を見ると 壊したくなることも…あいつは知らない 誰も知らないし、見せてないんだ。 見せれないだろ? こんな醜い…嫉妬してるだけの俺なんか… だから醜いのは嫌いなんだ。」 それは 自分が嫌いってこと?わたしはお父さんに近づき そっと抱き締めた。 お父さんは孤独なんだ。
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