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「えっ、真弓姉御は行けない……。
てぇことは、キミちゃんもか?」
「ぅん、残念だけど。
真弓先輩が行けないのなら、わたしも山積みのお仕事を少しでも……」
四人の若きホープ達は、顔を見合わせた。
真弓は、仕事をしながらイヤホーンを両耳に突っ込み、
そうして時には椅子から降りて、
お尻を突き出し、両手でお尻を叩いては、
♪
おしりかじり虫~~
おしりかじり虫~~
などと、歌っては踊るのだった。
「ぅ~~ん。
画一がやると様になっちょったがなぁ。
もっとお尻を突き出さなきゃいかんのかなぁ……。
ん、何じゃ?」
そんな真弓に、
男子Aは腰をぐうっと低くして近寄って来た。
「真弓姉御、キミちゃんから聞きましたよ。んっ……。
もぅ~姉御ったら~~手伝いますよ、手伝いますよぉ~~。
簡単な計算だったら任せて下さいよ~~」
すると、真弓はイヤホーンを外して再度訊くのだった。
「ならぁ、どげんしてもあたしの歌を聴きたいっ……
どげんしてもあたしと一緒に歌いたいっ。
と、こうおっしゃるんじゃね、諸君達わ~~っ」
と、真弓が言った途端、
側で聞いていた紀美子はヤッターと叫んで、諸手を挙げるのだった。
そのカラオケ屋は、渋谷は道玄坂にあった。
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