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マウンドに内野手が集まった。思い思いの言葉を悠哉にかける。
「思い切り投げろよ」
「おまえなら大丈夫だ」
「おれたちが守るから」
うんうんと頷く悠哉だったが、最後の言葉には大きく反応した。
「負けてもともとだよ」
悠哉は顔をあげた。
「いや。
おれは負けない。
絶対に押さえて優勝する」
悠哉の目に闘志が消えていない事に、仲間たちは安心して笑顔になった。
「そうだよな、ここまで来たんだ。
絶対優勝しようぜ、悠哉!」
仲間たちは悠哉とグローブタッチを交わすと、それぞれのポジションに戻った。
マウンド上で悠哉は、滑り止めのロージンバッグを、ポンポンと手のひらで上下させる。
眩しい夏空を見上げた。
遠くで細長い雲が流れていく。
(未希。
おれは絶対に勝つ。
勝って優勝メダルを、おまえの首にかけるからな)
悠哉は、徳永 未希との出逢いを思いだしていた。
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