出逢い

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  悠哉の思いは確かだった。 (予選開始まで、あと一ヶ月。今年は絶対に甲子園で優勝する。  そしてプロに入って、母ちゃんを楽にさせるんだ) 悠哉のランニングは続く。潮の香りが強くなった。もうすぐ海岸だ。 (ん……?) 悠哉は足を止める。 足下に、白い紙飛行機が落ちていたからだ。 (近所の子供が飛ばしたのかな) 悠哉はそのまま走り去ろうとしたが、紙飛行機に文字が書いてあることに気がついた。 紙飛行機を広げてみる。 そこには赤のマジックで大きく『みんな死んじまえ』と書いてあった。 「何じゃこれは?」 思わず口をついて出た。   悠哉は辺りを見回した。 フェンスの向こうには、五階建ての病院が建っている。白いタイルの壁は、夕陽に赤く染まっていた。 他には、民家らしきものは見当たらない。 (何かのいたずらかな) 悠哉はその紙を、お尻のポケットに入れてランニングを続けた。 その悠哉の後ろ姿を、病院の二階の窓から、誰かが見つめている。 その顔は夕陽を受けて、血のように真っ赤だった。  
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