7人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前は本当に死んでくれれば良かったのに」
ケイの姉の、夏々(なつか)ちゃんが庇ったせいで、ケイはまだ生きている。
「ひっでぇな、お前」
「だってお前がちゃんと死んでくれれば、日子のことはどうにも出来た。日子は、夏々ちゃんのこと、忘れてる、か、ら」
ケイが死んだと、勘違いしてる。
「お前さえ死んでくれれば―――!!」
「……ってかさ、いつもは日子は俺のこと、どういう風に覚えてるの?俺、こっから出て行ったから解んないんだよね」
「……五年前に、村の外から里帰りしてきた子になってる。んで、また会う約束をしてるんだ、って言って、ずっと待ってる」
そして夏々ちゃんの命日(日子の中ではケイの命日)だけ、ケイを殺したのほあたしだ、と半ばパニック状態になる。
「そっか……そっか」
「なにがそっかなのか知らないけど、用がなくなったんならさっさと消えて」
殺したくなる、とあたしは言った。
ひっでぇな、お前、とケイは言った。
最初のコメントを投稿しよう!