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「そ、れ、で、日子」
「なに」
「日子はそのケイくんと会ってどうしたいの」
「……解んな、い」
「……そ」
「夜子、もう行っていいよ。よしちゃんたちと遊ぶ約束してるんでしょ」
「でも」
「大丈夫。こっからなら一人で帰れるから。あぁでも、日傘はちょうだい」
ん、と夜子が日傘を渡した。行ってら、とあたしが言ったら行ってきま、と言われた。お揃いの、白いワンピースが視界の隅で揺れる。
蝉時雨、太陽光、遠くに向日葵が咲いている。
「やになる、よ。ばか」
夏もお前も大嫌いだ。
こつっ、と傘になにかが当たる音がした。蝉かカブトムシか。まだカブトムシの活動時間じゃないから、蝉か。
「……あ、」
ぶろろろ、と危なっかしい音を立てながら、バスが来る。思わず乗り出してしまうのが、あぁ、未練。
「あっ、えと、こんにちは」
「こんにちは、日子ちゃん」
顔見知りのバスの運転手さんは、朗らかに笑う。
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