第1章

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ケイはあたしたちの幼馴染みだった。ていうか、こんな小さな村の中の子どもたちはみんな幼馴染みだけど。 そんな中で、ケイと日子は仲が良かった。うっかりすると、あたしより。 仲、が、良かった。 けれどケイは突然引っ越すことになって日子と大喧嘩になって日子は大泣きして駆け出してそれを追いかけたケイは、 トラックに、轢かれた。 「のが、今日、なんだよ日子」 獣道を抜けた先にあるケイの家では、お坊さんが念仏を唱えていた。       * 「あーあ、来なかった」 七時のバスを見送る。ぎゃりぎゃりと車椅子の車輪の下で砂利が鳴る。半ば無理矢理方向転換をして、舗道されてない道を行く。 「ひーこーっ!」 「夜子!どうしたの!?」 「どうしたの、って帰り大変でしょ。ちゃんと送るよ」 「ありがと」 蝉が少し億劫そうに泣く。夕日が眩しい。 「あんね、夜子……今日も、来なかった」 「そう……」
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