第1章

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      * 「ただいま、お母さん」 家の門で立ってたお母さんに、言った。車椅子では日子が眠っている。 「お帰り、夜子。日子、眠ってるの?」 「うん。泣き疲れたんだね」 からからと、からからと、車輪が鳴る。お母さんと一緒に日子を部屋まで連れて行って、ベッドに寝かす。 「ごめんお母さん、ちょっと外に」 「えぇ、側溝に気を付けて」 そこは不審者じゃないんだ、と少し笑えた。         * 「―――ケイ!」 「うわっ、なんでバレた」 ・・・・・・・・・・・・ 木の影からケイが出てくる。 「バス停から追っかけて来てたの、見えてたし」 ケイは。死んでいない。 「なんだよその言い草ー……ねーちゃんの五周忌から頑張って抜け出してきたのに」 「なんで抜け出してきたんだよ、ばかっ」 「日子が心配だったから」 にこにことケイは笑う。あぁ、殴りたいくらいにうざったい。
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