8255人が本棚に入れています
本棚に追加
昼からの業務が始まると、みんな仕事に集中しだしたため、もう私たちのことを気にする人はいなくなった。
それなのに。
仕事が終わりに近づいた頃、高宮くんが席を立った隙に、噂好きの女子社員が近づいてきた。
「桐島さん」
いなくなった高宮くんの椅子に勝手に座った谷口さんは、キャスターをコロコロ転がして距離を詰めてきた。
「さっき、高宮くんに呼び出されてたよね?」
内緒話のようにぼそぼそと小さな声で話す谷口さんの目は、私を鋭く見つめていた。
「……」
仕事に集中したい私は、その声に返事することなくパソコンのキーボードを叩いた。
最初のコメントを投稿しよう!