第2章

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昼からの業務が始まると、みんな仕事に集中しだしたため、もう私たちのことを気にする人はいなくなった。 それなのに。 仕事が終わりに近づいた頃、高宮くんが席を立った隙に、噂好きの女子社員が近づいてきた。 「桐島さん」 いなくなった高宮くんの椅子に勝手に座った谷口さんは、キャスターをコロコロ転がして距離を詰めてきた。 「さっき、高宮くんに呼び出されてたよね?」 内緒話のようにぼそぼそと小さな声で話す谷口さんの目は、私を鋭く見つめていた。 「……」 仕事に集中したい私は、その声に返事することなくパソコンのキーボードを叩いた。
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