第2章

23/37
前へ
/572ページ
次へ
「無理しないで下さいね」 優しくそう言われてしまうと、なんだか自分のしていることが狡いような気がしてくる。 私は、意を決して高宮くんに問いかけた。 「谷口さんに、何か言われた?」 まさか私の口から話題にするとは思っていなかったのだろう。 高宮くんは目を見開いて、その後嬉しそうに笑った。 「なんでもありません」 信じていない私の視線に気づいて、高宮くんはそう言って。 「俺が、からかわれただけです」 にっこりと笑った。 どう考えても、昨日のことで根掘り葉掘り聞かれたはずなのに。 「いつものことなんで、気にしませんけどね」
/572ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8250人が本棚に入れています
本棚に追加