第2章

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そんな高宮くんを見て、なにか相談があるのかもしれないと思った。 今朝、なにかあれば言って、と言った自分の言葉を思い出したのだ。 今まで、誘われたこともなかった高宮くんに、昼食に誘われたのだ。 なにもないはずはない。 自分の中で納得して、先に出て行った高宮くんの後を追うように、私も部署を出た。 エレベーターを降りると、玄関ホールには人影はほとんどなかった。 受付嬢も交替でお昼休憩に入っているのだろう。 受付に、一人だけぽつんと座っている。 足早に正面玄関を通り抜けると、きょろきょろまわりを見回した私の目に、ビルの影から小さく手を振っている高宮くんが見えた。
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