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近寄って行くと、にこっと人好きのする笑顔で微笑まれる。
会社にいるときはへらへらして見えるのに、仕事中じゃなかったら優しげな微笑みに見えるものなんだな、と不思議に思った。
「行きましょうか」
そう言った高宮くんの言葉に、こくりと頷いた私を見て、高宮くんは路地へと体を向けた。
それは入ったことのない道で。
でも前を歩く高宮くんの背中を見ていると、不安なくついて行くことができた。
「ここです」
10分ほど歩いた路地裏に、その店はひっそりと佇んでいた。
かなり年代を感じるその建物には、小さく《定食 和》の看板と。
鶯色をした暖簾がかかっていた。
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