第2章

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近寄って行くと、にこっと人好きのする笑顔で微笑まれる。 会社にいるときはへらへらして見えるのに、仕事中じゃなかったら優しげな微笑みに見えるものなんだな、と不思議に思った。 「行きましょうか」 そう言った高宮くんの言葉に、こくりと頷いた私を見て、高宮くんは路地へと体を向けた。 それは入ったことのない道で。 でも前を歩く高宮くんの背中を見ていると、不安なくついて行くことができた。 「ここです」 10分ほど歩いた路地裏に、その店はひっそりと佇んでいた。 かなり年代を感じるその建物には、小さく《定食 和》の看板と。 鶯色をした暖簾がかかっていた。
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