第1章

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そこに『あの人』が現れた。 『あの人』は、涙を流しながら僕に『大丈夫だよ』と、その声はとても悲しそうにそしてとても優しい響きだった。 僕はその声に安心し、気が緩み気を失った… …………… 『ねぇ!早く来てよ!』 小さい頃の僕だ… 楽しそうに笑ってる… ここはどこだ…? 思い出せない… でもとっても大切なところだったはず… あぁ…あの人は…。 『 』…。 あぁ…はやく会いたい…。 今どこにいるの…? 会いたいよ…。 ………… 目が覚めるとそこは、とっても懐かしいところにいた。 僕が昔暮らしてた家だ。 よく見てみるとところどころ違った。 でもとっても暖かい場所に感じた。 昔住んでた家に似てるからかな…? 「おはよう。よく眠れた?」 声が聞こえた方に振り向くとそこには、全身が真っ黒な物に覆われている男がいた。 とてつもなく恐怖を感じるのに、なぜか懐かしさが込み上げてきた。 男が近づいてきて、いきなり抱きしめてきたのだ。 僕はビックリして、動くことができなかった。 「よかった!起きなかったらどうしようと思った!」 男は僕の存在を確かめるようにさっきよりも強く抱きしめてきた。 男の臭いがとっても懐かしい臭いがしたので、なぜかとっても安心してしまい、僕は男にしがみつくように泣き出した。 男は僕に『大丈夫、大丈夫』と言いながら頭を撫で、僕が泣き止むまでずっと撫で続けてくれた。 男の声は僕を包むような暖かなものだった。 僕は泣きつかれて、男のうでのなかでまた眠りについた。
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