ある忍者の打算的な恋模様

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 下手すれば、その気まずさに耐えかねて、下宿先を変えてしまうかも知れない。  赤の他人ならそれで終わる話かも知れないのだが、タチが悪い事に、真は義輝のイトコだったりするから困り物だ。  きっと、就職してから以降も・・・親戚の集まりがある度に高校時代のエピソードとして、延々と語られるのだろう。  真の場合、死ぬまで言ってそうだから、余計に怖い。 「・・・く、ぐぅぅ・・・」  思わずおかしな唸り声をあげてしまう義輝がいた。  他方、修羅の場合・・・彼女を拒否する理由が見当たらない。  強いて言うのなら、真の関係だが・・・親戚のしがらみが怖いから君とは付き合えないとも言えない。  修羅に面と向かって親戚のしがらみが怖いと断言したのなら、明日からの自分は『恋愛より親戚を選んだ男』として、重い十字架を背負って生きて行かなければならないだろう。  それはそれで嫌だ。滅茶苦茶カッコ悪い事、この上ない。  ついでに言ってしまうと、義輝は決して真を嫌ってなどいない。  ハチャメチャなトコばかりが目立つ彼女だが、反面、優しい部分などもあって、そこがまた可愛くもあり・・・まぁ、つまる所が、選ぶに選べない。  平たく言う所の、優柔不断。  結果、生まれる、泥沼の三角関係。  もう、見事なばかりに泥まみれである。  でも、なんでかドロドロにはならないのだから不思議だ。  
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