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「そうだな・・・。
お前にとって、今の私は、重罪を犯した咎人に過ぎない。
事情聴取も兼ねて、その話題を振るのは当然か」
「いや、別に俺は警察の真似事なんかする気はないよ」
一気に声のトーンを落とした修羅に、義輝は軽い口調で否定して見せた。
実際、警察じゃないのだから、事情聴取を取る気などない。
・・・と、言うか、義輝はそこまで根回しが出来る様な、気の効く男でもなかった。
「じゃあ・・・どうして、そんな事を聞こうと思ってるんだよ?」
「そうだなぁ・・・取り敢えず、友達だから?」
「・・・え?」
修羅はキョトンとなる。
そこから、ジト目になりーー
「さっきまで、顔も思い出せない相手でも、お前は私を友達と呼ぶんだな・・・?」
「いや、まぁ・・・そこは、悪かったって」
もはや、皮肉としか言いようがない台詞を吐く修羅に、義輝は苦笑しながら、謝って見せた。
「本当にそう思ってるのか?」
「思ってる」
「じゃあ・・・もう、私の事、忘れないと約束出来る?」
言った修羅は、いつになく真剣だった。
あまりに真剣の度合いが強すぎて、義輝が軽く引いてしまう。
しかし、ここでNOと言える様な彼でもなかった。
簡素に言えば、義輝は他人がびっくりしてしまうくらいのお人好しだったのだ。
「ああ。
今度は、絶対に忘れない」
「・・・本当だからな? 絶対の絶対だぞ? 次忘れたら、色々と酷いからな!」
修羅は、何度も念を押す感じで義輝へと言う。
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