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何やら、妙に切実だった。
「ああ・・・こ、今度こそは、大丈夫だと思う」
「そうか・・・微妙に不安材料が見え隠れするが、今日の所は義輝を信じてやろう。
じゃあ、話すぞ?」
答えーー修羅は、目線を空に向ける。
どこか、哀しげな表情で。
不謹慎だが、少しドキリとなりそうな姿だった。
何処と無く儚げな彼女の姿は、触れば壊れてしまうのではないかと思える程に弱々しく・・・守ってあげたい衝動にさえ駆られる。
実質、修羅は美少女と形容して間違いない水準に達している。
冷淡で、感受性に欠ける部分もあるが・・・それ故に、感情が表に出た時の表情やしぐさが誰よりもインパクトがあってーーかつ、魅力的だった。
そんなせいか、義輝もついつい無意識にドキドキしてしまう傾向にあったのだが・・・そこは根性で押し殺そうと頑張ってみる。
そんな、根性で平静を装うと言う、地味に涙ぐましい努力をしてた義輝がいる中、修羅は口を開いてみせた。
「実を言うと私は、ここの生まれじゃないんだ。
元々、ここは父方の実家でな。
小学校に入学するかどうかと言う時に、こっちの方へと引っ越して来たんだ」
「へぇ・・・そうだったんだ」
「・・・当時、羽生義輝と言う幼馴染みがいて、将来のお嫁さんになる筈だった事を、今でも覚えている」
「へぇ・・・って、まて?
それ、俺じゃね?」
軽く聞き流す感じで耳を傾けていた義輝は、そこでポカンとした顔になった。
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