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「・・・ふふ。
さぁて、な? もしかしたら、同姓同名だったかも知れないぞ?」
ポカンとなる義輝がいた所で、修羅は軽くいたずらっ子の様な笑みをやんわりと浮かべる。
「なんだよ、おどかすなよ」
義輝は、少しだけホッとした顔になるがーー
「まぁ、本人だがな」
「ーーって、やっぱり俺かよっっっ!
どうもすいませんでしたぁぁぁっっ!」
しれっと言う修羅の言葉を耳にして、義輝はソッコーでツッコミをいれた後、おもむろに謝って見せた。
ともすれば、さっきからしつこく何回も『今度は忘れるな』と言ってるのは、ここらに理由があるのかも知れない。
「すいませんで済んだら、警察はいらない」
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ・・・」
「そうだな? 誓いのキスでもしてもらおうか?」
「ええええええっ!」
義輝は思いきりビビった。
流石に、キスの要求が来るとは思わなかったからだ。
だが、しかし。
「ふふ。
安心しろ、冗談だ」
修羅はニッと笑みと作って言う。
「そ・・・そうか、少し驚いたぜ」
「誓いのキスは近い内でいいーーちかいだけにな?」
「その駄洒落つまんないですから!」
しれっと答えた修羅の言葉に、義輝の鋭いツッコミが飛んだ。
なんとなく、疲労感が義輝の中に生まれて来た。
「話を戻すか。
そんな訳で、昔は東京に住んでた。
本当なら、同じ学校に通う筈だった羽生義輝と別れて」
修羅は地味に語気を荒くして答えた。
言ってる事は、どことなく冗談めかしてるのに、なんだか妙に笑えなかった。
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