ある忍者の日常的な陰鬱

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 この時ばかりは、バカな自分のオツム加減を呪った。  ほんの少しでも、良い。  ここで、彼女を励ます言葉を、頭から捻り出す事が出来たのなら、少しでも気の効く言葉を言う事が出来たのなら、きっと・・・修羅の気持ちを和らげる事が出来たかも知れない。 「ごめんな・・・修羅」 「?  どうした?」 「俺、バカだからさ、慰めの言葉とか、言えなくて」  言い、義輝は泣いた。  己の馬鹿さ加減に泣いた。  結構、シリアスしてるのに、ボケた理由で真剣に泣いてた。  果たして。 「その涙だけで、十分だ」  修羅は柔和な笑みを作って言う。  嬉しかったのだ。  自分の為に泣いてくれた事が。  実は義輝自身の馬鹿さ加減に、全俺が泣いた状態だったんだけど、修羅的には自分の為に精一杯、親身になっていると勘違いしていた。  もっとも、完全なる勘違いと言う訳でもなかったのだが。 「やっぱり、私が知ってる義輝だ。  馬鹿でお人好しで、馬鹿で・・・やっぱり馬鹿なヤツだけど」 「いやいや! 馬鹿三回も言ってるから! 流石に悲しいから!」 「でも、馬鹿なのに誰より優しくて、馬鹿なのに私をいつも助けてくれて。  そして、馬鹿で・・・」 「いや、もう、絶対わざと馬鹿を入れてるよね? 馬鹿なのは自覚してるけどさ」  義輝は半ベソになってた。  もう、なんか・・・ほっといてくれと、声を特大にして叫びたい。  
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