ある忍者の日常的な陰鬱

58/69
前へ
/90ページ
次へ
 もう、どう答えていいか解らない義輝が、途方に暮れた顔をしていた所で、修羅がニッと快活な笑みを作って見せた。 「・・・ふふ。  冗談だ義輝。  私は、そこの銀髪も恋敵になってほしくなかっただけで、他に他意はなかったんだ」  もし、眼前の百合色お姉さんが相手なら・・・勝ち目が薄くなるからーーと、胸中でのみ付け足して。  敢えて口には出さなかったのは、彼女なりの意地があったのかも知れない。  つまり、負けたくないのだ。  でも、やっぱり不安だったのだろう。  小刀をしまい、義輝の背後に回っていた修羅は、さりげなく義輝の背中に頬をすりよせる感じで立っていた。 「・・・で、だ?  私はどう安心すれば良いと言うんだ?」  その上で、さりげなく話を違う方向に持って行こうとして見せた。  ある意味、策士である。 「ーーああ、そこなんだけど。  今回の件に関しては、ある程度の特例が認められててね?  一定の条件さえ満たせれば、生徒会が市から全面的に権利を頂く事が可能だったりするんだ」 「・・・なに?」  さりげなく話を戻され、はたと気づく感じで答えた瞬に、修羅はポカンとした顔を作る。  瞬はけっこう簡単に言ってはいたが・・・実際問題それは、口で言うほど簡単な物ではない。  なんと言っても、全権を生徒会・・・つまり、学校の生徒に一任させる訳である。  簡素に言うのなら、独断と偏見で全てを決めても良いと言ってるわけだ。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加