ある忍者の日常的な陰鬱

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「・・・暁の忍者」  ぽそりと、修羅は言う。 「暁の忍者? なんだ、そりゃ?」  誰に言ったわけでもなく言った修羅の独白に、義輝は頭にハテナを浮かべて口を開く。  そんな、義輝の疑問に返事をしたのは瞬だった。 「ウチの学校・・・つまり、大原田高校の中で生まれてる、反乱分子ってトコ?」 「なんだそれは?」  地味にため息を吐き出し、疲れた顔になって言う瞬に、義輝はわけがわからないと、顔で言っていた。 「・・・こっちが聞きたいね。  正直、なんで私が会長してる時に、そんな面倒な集団が出て来るんだか。  ・・・はぁ。  もう、本気で勘弁して欲しいトコだよ」  瞬はうなだれ加減になって口を動かして行く。 「ーーんで、本当なら自衛団が取り締まる訳なんだけど、ウチの生徒会が取り締まりに入ってる理由の1つが、これね」  つまり、同じ学校内で生まれているからだ。 「まーー問題は、ここだけじゃないんだ。  これだけなら、自衛団だって市税を貰って仕事してる訳だから? それ相応の対処もしてくれるわけで・・・」 「じゃあ、何が問題だって言うんだ?」 「その反乱分子が1つならよかった・・・って、話」 「・・・へ?」  ため息混じりで言う瞬に、義輝は唖然とした顔になる。 「私が知ってる限りだと、この他に中学と大学ーー果ては、自衛団の内部にすら、その反乱分子の末端組織があるらしくてね・・・正直、市もてんてこ舞いなんだってさ」  ーー結果。  生徒会に、そのお鉢が回って来たわけとなる。 「なんて、無責任な話なんだよ・・・」  瞬の話を耳にし、義輝は苦い顔してぼやき声を吐き出した。
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