ある忍者の日常的な陰鬱

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「なるほどなぁ・・・」  義輝は納得加減の声音を吐き出して見せる。  つまる所、修羅も暁の忍者と言う反乱分子の1つに魅力的な条件を提示され、ついつい魔が差してしまったわけだ。  しかも、その行動の先にあるのは、決して悪事と言うわけでもない。  むしろ、善行と述べても差し支えない内容ですらある。  だからと言うのも、変な話かも知れないがーー 「今回の件は、一定の条件を修羅さんが飲んでくれる事で、不問とします。  ううん、それだけじゃない。  今後、私達、生徒会の管理下に修羅さんが置かれた場合、暁の忍者が貴女へとなんらかの虐待行為に及ぶ危険性が極めて高い・・・この点を加味した上で、身の保証を約束しましょう。  この私、大原田高校生徒会・会長、吉田瞬の名において、伊東修羅さんに危害を加える者を全て排除して見せます」  瞬は気品のある笑みで、堂々とにこやかに修羅へと口を開いて見せる。 「・・・会長」  人の上に立つ者の風格見たいな物を無言で醸し出していた瞬を前に、修羅も思わず笑みを作って見せた。  余談だが、瞬の会長としての評判はすこぶる良い。  大原田高校の歴代会長の中でも1、2を争う程の人気がある。  人気の秘訣は、やはりその高いカリスマ性であろう。  気品と風格・・・この二つに威厳が備わり、瞬の会長としての素質は校内の誰もが認めていた。 
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