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実際、修羅の答えている事の方が正論であり、道理でもある。
悪の秘密結社じゃあるまいし・・・生徒会の取り締まりを隠す必要など、塵も芥もないのは、もはや義輝だって解ってはいた。
・・・そう。
解ってはいたのだ。
「こ、これには深い訳が・・・」
実はそんなに深くはなかったのだが、義輝はいかにも深い理由があるんだと言わんばかりの表情を作って修羅へと言って見せた。
「わけ? そんな物がある様には見えないのだが・・・?」
「・・・う」
素朴な疑問を口にする様に言う修羅に、義輝は思わず口ごもる。
さりげなく痛いトコ突いてくるなぁ・・・と、地味にぼやき声を出したくなった。
義輝の背後から、なにやら得体の知れない刃の様な物が飛んで来たのは、その数秒後くらいの事だった。
「おわっ!」
「うわっ!」
その瞬間、義輝と修羅の二人は反射的に刃の様な物を素早くかわして見せる。
互いに尋常ではない反射神経を持っていた事が幸いしたと言うべきか? 特に大きな傷を受ける事はなかった。
「て、敵か?」
もしや、暁の忍者の仕業か!?
ーー思い、瞬間的に修羅は身構え、戦闘態勢に入ろうとするが・・・すぐに、刃を放った人物が知人であった事に気づき唖然となった。
・・・いや、違う。
「不意打ちとは、やり口が汚くないか? 柏原?」
敵対心を露骨に放つ様に言った修羅は、好戦的とも挑発的とも取れる笑みを緩やかに作った。
純度120%の喧嘩腰を見せる修羅の先には、純度120%の嫉妬を見せる真の姿が。
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