ある忍者の日常的な陰鬱

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 瞬間。  ーーぷち☆  真のこめかみ付近から、なにやら嫌な音がした。  もう、なんか、破滅的な音だった。  てか、泣いていい? とかって、義輝は思った。  もっとも、既に義輝の瞳からは大量の涙がドバドバ流れていたのだが。 「てぇるぅーーーーーーっっっっ!」  怒髪天を衝く勢いで叫んだ真の咆哮は、朝の爽やかな空にとっても傍迷惑に響き渡って行くのだった。  のちに大原田市最強の忍者となる義輝は当時の事を、こう振り返っている。 『あの頃の自分は、誰よりも陰鬱になれる素質を持っていたと、今でも豪語出来ますね』  ーーと。  きっと、冗談で言ってると、誰もが思う台詞を後世に残したらしいが、果てしなくどうでも良い戯言である。  ☆次回に続く☆
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