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義輝は素朴ながら、地味にツッコミを入れた。
「く・・・馬鹿な義輝にしては、明確なツッコミを」
「いや、それ・・・色々な意味で俺を馬鹿にしてるからな? てか、そんな真剣な顔して言うなよ、泣いていいか?」
「泣きたいのはこっちだ! 用事もないのに、人が必死で恥ずかしい気持ちを抑えて頼んだ誘いを、簡単に断られようとしてるんだから!」
義輝のツッコミを跳ね返す形で叫んだ修羅は、嘘泣きでもなんでもない涙を、瞳からじわぁぁ・・・っと。
「わ、解った! わかりましたよ! だから、マジ泣きとか勘弁しとけ!
別に用事もないから、行けないわけじゃなかったんだ。
だけど、遅れた時は・・・その」
そこまで言った義輝は結構真面目な顔になった。
果たして、義輝は言う。
「明日の待ち合わせは、アミューズメントパークじゃなくて、近くの総合病院とかになるかも知れないけど、そこは勘弁な」
翌朝。
修羅は約束の時間よりも一時間は早く、近所のアミューズメントパークに来ていた。
格好は、前途の通り。
一部の特殊な嗜好を好む男を抜かせば、百人が百人、全員がその美しさと可愛らしさに心を揺り動かされてしまうだろう姿で、ドキドキしながら義輝を待つ修羅の姿があった。
そんな修羅の思考は、物の見事に上の空。
うきうき笑顔で、気分も最高潮に胸を踊らせている。
きっと、今日は忘れられない日になる。
そうと、心の中で断言さえしていた。
前回のお話で述べていたかも知れないが、修羅と義輝は子供時代に少しばかりの縁がある。
期間にして、約一年程度だろうか?
しかし、その一年は、何物にも代えられない、修羅にとって大切な宝物だった。
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