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ただでさえ、訳の解らないしきたりのせいで、年がら年中、不本意な狙われ方をしている義輝だが・・・それとは別の理由でーー挙げ句に半殺しではなく完膚無きまで叩きのめそうとしてくるから心中穏やかではない。
「本当・・・マジで勘弁してくれないかな・・・」
義輝は思わず苦い顔になってぼやき声をあげた。
つくづく、自分の置かれた立場に一言物を申したい義輝がいるのだが、なんだかんだで何も言えない自分がいる。軽く腰抜けである。
今の義輝が行っている行動も、新たな惨劇からの緊急回避が主目的でもある。
居候として、自分の部屋を用意して貰ったのはありがたい限りではあったのだが、用意して貰った部屋は二階の奥。
隣は真の部屋で・・・外に出るには、真の部屋を通らないといけない。
この関係上、義輝は全ての精神を己の両足に集中させ、少しの音すら出さない様に慎重な足取りで真の部屋を通過する必要があった。
結果・・・下手な泥棒よりも泥棒らしい動きを無駄に披露する義輝がいた。
一応、忍具の中には自身の気配を消す、平たく言う所のステルス機能的な物もなくはないのだが、この機能を使うと逆に真に見付かりやすくなる。
何故か?
ステルス機能を感知する装置もまた、存在していたりするからだ。
そして、困った事にも・・・真は、この装置をしっかり持っているのだった。
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