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実際に馬鹿としか言えなかった。
真は、休みのあるなしに関係する事なく、朝起きたら目覚めのシャワーを日課としているからだ。
ここを考慮するのなら、シャワーを浴びていた先程までが、自宅を抜け出すビックチャンス!
その貴重なチャンスを、静かに階段を降りると言う、おかしな一人空き巣ゴッコに費やしてしまったのだから。
「い、いや。ま、真。
お、俺はなにもやってない!」
「・・・? まぁ、変な格好で階段を降りてただけかもねぇ?」
ギクシャクと、かなり不自然な動きで、早くも言い訳がましい台詞を吐いた義輝に、真はキョトンとした顔で返答した。
相変わらずの馬鹿っぷりだった。
これでは、自分から怪しまれる様に仕向けてるとしか思えない。
「それで? 輝くんは、私に何を隠してるのかな?」
「か、隠してなんかいないぞ! そ、そんな、アミューズメントパークとかになんか、絶対に行かないからな?」
「へぇ~。そうなんだ」
「じゃ、俺は図書館に行ってくる」
言うなり、義輝はソッコー逃げの形を取って、その場から離れた。
「へ?」
真は目をパチクリさせる。
その動きは、真の予想を遥かに上回る程の素早さを誇っていたのだ。
どうやら・・・
「本気で捕まりたくないのね」
真は、半眼になって呟く。
行き先は、間違いない。
「そもそも、馬鹿の輝くんが図書館になんか行くわけがないし」
嘘をつくにしても、もっとマシな寝言を言いなさいよと、真の顔は言っていた。
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