ある忍者の打算的な恋模様

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「・・・」  義輝は無言になった。  今ほど、修羅が可愛く見えた事はなかった。  刹那、真の眼がキュピーン☆ と怪しく光る!  同時に義輝の背筋が凍った!  ついでに、顔も見る間に生気を失って行く。  なんか、嫌な汗まで出て来た所でーー 「いい加減にしろ」  修羅が真を睨んで見せる。 「な、なによ・・・」 「義輝はお前の物なのか?  違うだろう? そこまで束縛する言われだってない筈だ」 「あ、あんたに何が解るって言うの!」  冷淡に口だけを開いて行く修羅がいた所で、真の眉が一気につり上がる。 「そうだな。私は解らないかも知れない。  だが、これだけは解る」  そこまで言うと、さりげなく義輝の真横に近付き、そのまま腕を組んで見せた。 「少なからず、義輝は私のモノになるーーそうさせる」  修羅はいつになく妖艶な笑みを不敵に浮かべた。  真のこめかみの辺りに怒りマークが生まれた。  ほぼ同時に義輝の逆に回り、もう片方の腕を取って見せる。  修羅のこめかみにも怒りマークが出来た。 「なんの真似だ?」 「それはこっちの台詞? てか? なに? 私と張り合うつもり?  悪いけど・・・義輝絡みなら、私はぜんっっぜん! 引くつもりはないからねっ!」  この瞬間、真と修羅の二人は、義輝を挟む形で無駄な闘志の炎を燃やしてみせる。  その炎は熱く暑く暑苦しく・・・真夏の太陽との相乗効果で熱中症になってしまうんじゃないかと、嘯きたくなる程だった。 「・・・」  義輝は無言。  正確に言うと、絶句していた。  心の中では思う。  神様・・・僕、なにか悪いことをしましたか? と。
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