13人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・」
義輝は無言になった。
今ほど、修羅が可愛く見えた事はなかった。
刹那、真の眼がキュピーン☆ と怪しく光る!
同時に義輝の背筋が凍った!
ついでに、顔も見る間に生気を失って行く。
なんか、嫌な汗まで出て来た所でーー
「いい加減にしろ」
修羅が真を睨んで見せる。
「な、なによ・・・」
「義輝はお前の物なのか?
違うだろう? そこまで束縛する言われだってない筈だ」
「あ、あんたに何が解るって言うの!」
冷淡に口だけを開いて行く修羅がいた所で、真の眉が一気につり上がる。
「そうだな。私は解らないかも知れない。
だが、これだけは解る」
そこまで言うと、さりげなく義輝の真横に近付き、そのまま腕を組んで見せた。
「少なからず、義輝は私のモノになるーーそうさせる」
修羅はいつになく妖艶な笑みを不敵に浮かべた。
真のこめかみの辺りに怒りマークが生まれた。
ほぼ同時に義輝の逆に回り、もう片方の腕を取って見せる。
修羅のこめかみにも怒りマークが出来た。
「なんの真似だ?」
「それはこっちの台詞? てか? なに? 私と張り合うつもり?
悪いけど・・・義輝絡みなら、私はぜんっっぜん! 引くつもりはないからねっ!」
この瞬間、真と修羅の二人は、義輝を挟む形で無駄な闘志の炎を燃やしてみせる。
その炎は熱く暑く暑苦しく・・・真夏の太陽との相乗効果で熱中症になってしまうんじゃないかと、嘯きたくなる程だった。
「・・・」
義輝は無言。
正確に言うと、絶句していた。
心の中では思う。
神様・・・僕、なにか悪いことをしましたか? と。
最初のコメントを投稿しよう!