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「うわっ、女か!? おい、他にも隊士を呼んでこい! 引き上げるぞ!」
「お、おう!」
日射しの方が騒がしくなり、人の気配が増える。香苗は桶にしがみついたまま堪えた。ゆっくりと縄が引き上げられ、浮力から急激に重力を感じる。体が重くて、寒くて、腕から力が抜けそうになるが、助かるために全力を振り絞って桶に結ばれた縄を握った。
「よい、しょっ……!」
出口辺りにまで上がると、男性が香苗の腕を掴んで直接引き上げてくれた。どさりと地面に投げ出されると、筒のようなものは井戸だと分かった。
「おい、芹沢さんに知らせるか?」
「いや、近藤さんの方がいいだろう。女がこの屯所の井戸に飛び込んだなんて芹沢さんが知れば……」
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