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「新撰組……? 何だ、それは。俺達の名は知っているようだが」
「井戸に落ちて気が動転してるんじゃないですか? 尋問するにしても、この格好のままでは風邪をひきますよ」
うろんな目を向けて香苗を睨む土方をなだめるように沖田が声をかける。井戸の水は一年を通して変わらない。そのため、秋冬は温かく感じるが、春夏は冷たく感じられる。その井戸で冷やされた体が震えてきていた。
沖田は長身をもてあましているかといった風の僅かな猫背で、眼差しは穏やかだった。人好きのする面立ちをしていて、年齢は香苗より幾つか年上に見えるが、そんなに離れてはいない。ニ十台前半に見えた。香苗の前にかがみ、瞳を覗き込んでくる。そこには気遣いと優しさが感じられて、香苗は土方への警戒と恐れを置いて沖田の目を見いった。
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