第1章

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「とりあえず、着替えさせましょう。あとは熱い茶を」 「必要ねえだろう、屯所の外に放り出せば済む話だ」 「でも、怪しいんでしょう?」 「こいつ、揚げ足とりやがって……」 土方が苦々しげに吐き捨てる。立ち上がり、香苗を一瞥してから背を向けた。 「土方さんは尋問しないんですか?」 軽い語調で沖田が訊ねると、土方は小さく鼻を鳴らして腰に手をあてた。 「長州の不逞浪士と繋がりがあるならまだしも、そいつは猫も叩けない顔をしてやがる。こんなとぼけた奴に関わるなんて時間の無駄だ」
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